平和な令和に。

幻冬舎の一件以来、ネット上(おもにツイッター)では未だにあらゆる言い争いが起きています。それを見るたびにがっかりしたり、悲しくなったり、ぞっとしたりするわけで、どうにも疲れます。早く平和なインターネットが帰ってきてほしい。

自分も出版界のものすごーく端っこの方に身を置いているわけで、今回の騒動は当然他人事ではありません。けれど、いろいろなひとの意見を読むにつけ、出版業界というのはちょっと特殊な世界なのだな、と改めて認識することになりました。

それについては小田嶋隆さんのこのコラムに詳しいです。

business.nikkei.com

個人的に一番響いたのは

そうでなければ原稿なんか書けない。

という一文。

これだけ引いてもさっぱりわからないと思いますが、ぜひ全文を読んでみてください。

note.mu

佐久間裕美子さんもこんなことを言っています。

自分が書いた文章を世の中に発表するーーそんな恐ろしい行為をありったけの勇気を振り絞ってやれるのは、後ろで背中を押さえていてくれる編集者がいるからです。

つまりは書くということはそういう類の行為なんだと思います。自分は編集者なので、小田嶋さんが言う編集者のやっかいな部分や、佐久間さんが言う信頼できる編集者がいてこそ良い作品が生み出せるということ、その両方についてはっきりとした実感があります。

そして思ったのは、作家にいろいろなタイプがいるように、編集者にもいろいろなタイプがいるということ。作家と並走して文字通り二人三脚で前に進み、良いものを作ることに尽力する編集者もいれば、作ったものを戦略的に売ることにより長けている編集者もいます。どっちもいていいじゃないですか。主義が違う作家と編集者はこの先も一緒に仕事をすることはないのだから、互いにチクチクやりあうのはやめませんか。多様性、自分はその言葉が好きです。