パリで読む。
昨日帰国しました。滞在中、最後の方はWiFiの調子がこれでもかというくらい悪く、全然ブログを更新できず。。本当は中日(なかび)くらいに書こうと思っていた内容を、今更ながらに。
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パリのCDG空港まではだいたい12時間くらいのフライトです。いつもは映画を何本か借りていって、パソコンを広げて観ていたのですが、今回は本をたくさん持って行きました。
まず機内ではこちらを。
2014年に発表された作品ですが、この度文庫化。上下巻合わせて1000ページ以上とけっこうなボリュームなのですが、自分は苦労せず読めました。巧みな筋運び、新しい文体、実験的な構成、センスの光るユーモアなどなど、かなり好みだなーと。が、苦手な人、完読できない方もいるかもしれません。それなりに癖のある小説なので。
糸井重里さんが発売当時に絶賛しており、今回の文庫版刊行にあたり解説文を寄せています。ほぼ日では作者である佐藤正午さんとの対談も。
特設サイトまで。
この小説を知ったのは誰かのSNSでの投稿でした。新しく始まった連続ドラマ『anone』についての投稿の中で、両作ともに偽札を扱う作品ということで『鳩の撃退法』のことが引用されていたのでした。『anone』については気が向いたら書きます。
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ホテルやメトロの中、カフェではこちらを。
パリの美味しいものを紹介している本ではなく、パリで生計を立てている(メシを食っている)日本人へのインタビューをまとめた一冊です。
三つ星レストランの厨房で働く料理人、オペラ座に漫画喫茶を開いた若夫婦、パリコレで活躍するスタイリスト。その他アーティスト、カメラマン、花屋、国連職員…パリにいつのまにか住み着いた日本人10人の軌跡。時にセーヌ川のほとりで、時にワインを片手に、彼らが語る軽やかでマイペースなパリでの暮らしぶりに、思わず肩の力がふっと抜ける好著。
ずいぶん前に買ったのですが、なんとなく日本で読む気がせず、わざわざパリで読むというしゃらくさいことをしてみました。結果とてもよかったです。パリで遮二無二がんばるひとたちの孤独、寂しさが妙にリアルに響いてきて。異国で暮らすというのは当然ですが、簡単なことではないなと思いました。ですが、日本で生まれた日本人でも、日本が住みづらいということもあるわけで。適材適所だし、合わないなと思ったらすぐに環境を変えるべきですね。
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以前のブログでも紹介しましたが、マッドシティ川崎についてのルポルタージュが一冊の本にまとまりました。
磯部涼さんの文章はもちろん素晴らしいのですが、細倉真弓さんの蒼みのかかった写真がじんわりと沁みます。気高さと悲しみが同居したような。
そんなこんなで、活字モードになってきているので、もう少しいろいろ読んでいこうと思っています。